
先々月ピッチフォークが発表した「2000年代におけるトップ200アルバム」について書いた、サイモン・レイノルズのエッセイ。"Simon Reynolds's Notes on the Noughties: The Musically Fragmented Decade"(〈ガーディアン〉12月7日)。以下そのまとめ。
http://www.guardian.co.uk/music/musicblog/2009/dec/07/musically-fragmented-decade
サイモン・レイノルズは英国人のポピュラー音楽ジャーナリストで、記事のタイトルの頭に「レイノルズの○○」ってつくくらいの大物。英国のポストパンクについて書かれた名著『リップイットアップ』の著者で、来年翻訳がでるんだってよ。はやくでないかな。この記事はそうでもないけど、彼はミスター・シニシストとして有名な人なので(イアン・マッケイの対極にいるような人といえばいいのかな)、元気なくなること注意。
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ピッチフォークのトップ10の偏りっぷり

レイノルズのピッチフォーク評は、好き嫌いとか興味ないとかは抜きにして、現在のピッチフォークはインディロックのコンシューマーガイドとしてーーおそらくこのご時世では奇跡的にーー成立している音楽レビューサイトであり、ということはこの00年代ベスト200はもっとも影響力があるはずのものだというもの。まず彼はピッチフォークを「あえて重要」なものとして話をはじめる。
レイノルズが指摘するピッチフォークのランキングの目立った特徴は、ベスト10の中の8枚が00年代の最初の3年間にリリースされたものという、おそろしくかたよっている点("slanted massively to the early years")ーー7枚が00年と01年にリリースされたもので、02年と04年がそれぞれ1枚。00年代半ば以降はパンダベアーのみ。レイノルズの穏当な解釈は、00年代がすすむにつれて、インディシーンがさらなるサブシーンへと分裂していき("the fragmentation of rock/pop")、どのバンドが重要であるかのコンセンサスが極端にえられなくなっていったから。そういったわけで、とてつもない量の音楽を聞いているはずピッチフォークのレビュアーたちでさえも、すくなくとも見通しがはっきりしていた(どのバンドか「重要」かの共通了解があった)00年代初頭に中心をすえざるをえなかったのではないかというもの。
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レイノルズのトップ10
サイモン・レイノルズが実際にベスト10を選んでみたら、ピッチフォークとは異なり、意外と均等に00年代の前半と後半にわかれたという。とはいえ、00年代前半のリストはピッチフォークとかわらないベタな結果になっているがーーRadiohead Kid A、 Jay-Z The Blueprint、Daft Punk Discovery、the Avalanches Since I Left You 、00年代後半にリリースされたアルバムは前者と比べるとかなりマイナーなアルバムになってしまったーーGhost Box Musicレーベルのもの, Black Moth Super Rainbow, Dolphins Into the Future, Mordant Music, High Placesのアルバム。後者はそれなりに人気がありファンがついているバンドだけれど、まちがいなくレディオヘッドのように幅広く聞かれているものではない。
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ベスト2000だったら00年代最強説
現在、ひとりの個人がオーディエンスとしてカバーするにはあまりにも大量の音楽が存在している。そして、ここが重要なんだとおもうけど、べつに駄作が大量生産されているわけでもない。現在、優れた音楽をつくっているバンドはたくさんいる。花壇にはあまりにもたくさんの花が植えられている状況かもしれないが、なおかつどれも質がいいところが00年代の特徴。それぞれのバンドは小さなシーンを超えた注目をかちえなくても、他の「重要」なバンドに淘汰され消えていくわけでもなく、それぞれが作品を地道にリリースしつづけている。この10年間は量と質が両立している時代だということ。
そして、レイノルズは思いつきで「年代別ポップ音楽戦争」のすじがきを語りはじめる。もし00年代のベスト2000をかき集めて90年代のベスト2000と比較したら、疑いもなく00年代のほうが優れていることがわかるだろう(レイノルズはそもそも90年代のインディロックをみとめていない)。そして、80年代もなぎ倒し、70年代や60年代の音楽だって打ち負かしてしまうにちがいない。とはいえベスト200だったら話は別。60年代がかろうじて70年代を破り、70年代が80年代にぎりぎり勝り、80年代が90年代を余裕で打ち倒し、90年代は00年代を・・・。まあこの年代戦争はどうでもいいんだけど、レイノルズがくりかえし強調している点は、00年代は音楽的には幅広くリッチな(いわゆるロングテールな)世界であるのはまちがいないということ。
ここでレイノルズが最初にピッチフォークは「あえて重要だ」と評したことがいきてくるのだけど、彼のいう重要さimportanceというものは、バンドでいうならアルバムが優れているかどうかというレベルのものではなく、オーディエンスの方が作り出す価値のこと(受容されるかとかインパクトをあたえるかというもの)。00年代の特に後半のバンドは現在のピッチフォークのサイトが一人勝ちしているような幅広い重要性がもはや持てなくなってしまった。でも、そういった重要性を期待できないことを当然として信じこんでしまうのはよくないよ、というのが彼の意見。まあここまで長々とまとめ書いといてなんだけど、これってよく言われてることな気もするね。
さておき、こないだ本を読んでいたら、数多くあるウォーホルの15ミニッツフェイムのパロディの中でもわりと有名な、「将来すべてのひとは15人の有名人になるだろう」"In the future everyone will be famous for fifteen person"って言葉をみて、なんかぞっとしちゃったよ。









